仙岩峠旧道

秋田県田沢湖町生保内、ここから岩手方向に向かう区間にも、旧道が存在する。
ここでは、その現状をお届けする。

このレポート記事は、現地を探索した2003年5月26日(日中)現在のものです。

その4 田沢湖町生保内地区

  0)バリケード

   「仙岩峠」とは意味合いが異なるが、秋田方向から岩手方向へ向けて車を走らせると、田沢湖町生保内地区にて
  真新しいバイパスが作られている。
   そのため従来からの道路が、旧道として存在する。
   距離にしてほんの2km前後ではあるが、田沢湖駅の近くで住宅が建て込んでいて道幅が狭いため、バイパス開通の
  効果は大きかったであろう。

   写真は、生保内の街中を過ぎ、まもなく現道に「飲み込まれる」地点。正面に県境・奥羽の山並み。
   現道が右上から正面に延びるが、旧道とは直接交差しておらず、簡易ながらバリケードが置かれている。
   うっすらと残るセンターラインが、往時の面影を伝える。




  1)仙岩道路資料館前

   仙岩道路資料館には、仙岩道路についてのパネル展示がされている。
   私も、ここでいくつかの資料をもらってきて、このページ作成の参考にさせてもらっている。
   そして、この資料館、仙岩道路管理所の建物に同居している。
   その名の通り、普段の道路状況はもちろん、災害や交通事故発生時には情報拠点としての役割を
  担っている。

   ここは、仙岩峠旧道の秋田県側終点でもある。ここから旧道を遡ってみることにする。

   その1で紹介した、岩手側旧道分岐点から、差し引き11km。
   もちろんこれは、現道の区間距離であり、仮に旧道経由ではもっと長い距離になることだろう。



  2)閑散

   1)の資料館から、国道46号線の盛岡寄り、道路の左右に駐車帯がある。

   道なりに進もうとすると、やがて登坂車線付きの登り坂に差し掛かる。
   が、その駐車帯のどん詰まり左手に、なんと旧道の分岐点がある。
   写真には撮らなかったが、某民宿の案内看板などが林立している所である。

   旧道に入ると、とても長閑な風景が広がる。
   そして、仙岩の山々が眼前にそびえる。




  3)ギアチェンジ

   一見住宅街のようでいて、工場もあるし、ふと右手を見ると生保内川の工事現場が間近で
  時折ダンプカーも行き交い、よく分からない界隈である。

   現役の街道だった頃は、これから山登りに備えて勢い付ける車、そして峠を下りてきてホッとした
  車が、警笛を鳴らしながら行き交っていたのであろうか?







  4)いよいよ

   右は生保内川沿いの林道へ分岐。

   そして旧道は直進。

   ここから、道が狭くなっているように見えるが、もともとこの道幅だったのか、それとも森が進出して
  狭くなったのか?








  5)宝風橋を真上に望む



   1.5車線の緩い左カーブを登っていくと、やがて頭上に赤い橋が見えてくる。
   さっき1)地点から分岐した、現在の国道46号線である。

   もう既に目測30m以上の標高差をつけられている。
   旧道もじわじわと登ってはいるのだが、どこで追いつくのだろうか?

   それにしても、こういう角度から現道を見ると、まさにハイウェイである。



  6)林道ふうの道
















   「林道」ではない。
   「林道ふう」である。
   林道にしては、カーブも勾配も緩やかで幅も少し広めである。
  (少なくともここまでは〉

   左下、路肩が陥没している個所を発見。






  7)砂利道。

   ここで、舗装が途切れた。

   1つ疑問なのは、当時もここから砂利道だったのだろうか?









  8)自然の造形

   なおも進むと、道端に突如、大木の残骸が出現。
   残骸といっても、それがまた異様にでかい。

   これを人間が、わざわざ余所から持ってくるわけはないだろうし、やっぱり山から転がり落ちた
  のだろうか。







  9)理解し難い看板、その1

   「砂防指定河川(?)
    六枚沢川
    この土地の区域内において宅地造成、家屋の
    新築、土採取などの行動をする場合は秋田県知
    事の許可が必要ですから仙北土木事務所にご
    相談ください
    (以下、錆のため判読不可能)」

   土採取ならまだしも、こんな山の中に家を建てる人なんているのか?
   それとも道路現役当時は、ここは住宅街だったのだろうか(爆)



  10)理解し難い看板、その2



   この橋も、銘板が見当たらず、またしても名称不明か?と思っていたが、ヨッキれんさんから情報をいただいた。(ありがとうございますm(__)m)
   名前を六枚沢橋という。

   右にカーブしている橋だが、その右側には、ご覧のようなコンクリートの構造物。
   しかもそれは、欄干よりも内側にあって、欄干に迫るほどの高さ。
   これはいったい何だろう。

   そして、また理解に苦しむ看板。
   「危険
    キケン」
   そして、下部に、忘れてしまったが、地元の小学校の名前が書かれてあったと思う。
   いまさら言われなくても、危険なのは百も承知であるが、もしかしてここは小学生の遊び場なのか。
   だとしたら、確かに危険である。(笑)



  11)森に侵略された道の跡

   やがて、道はとたんに心細くなる。
   それは単に道幅がどうこうということではない。

   六枚沢橋を渡ると、少し道が広くなっているところに出る。
   しかし、そこで道は終わっている。

   この事態は、俄かには受け入れ難いが、しかし現実なのだ。

   写真では見にくいが、現道を行き交うトラックが見える。



  12)森の勢い

   もっと近寄って見てみると、かすかに道があったような形跡も見られるが、やはり藪に埋もれて
  いる。

   この密林に、果敢に挑まれた方もいらっしゃる。
   この先は、ヨッキれんさんにその紹介をゆだねることにする。








   13)パノラマ


   戻りながら、宝風橋下の手前辺りで、沢の対岸を見渡す。

   旧道は、ここから10)で六枚沢川を渡った後、今度は沢沿いに対岸を登り詰めて、再び宝風橋の下を通るようである。
   宝風橋のたもとに看板が小さく見えているのが、現在廃屋となっているドライブイン跡


  現・宝風橋上から、旧道を見下ろす。

  上の写真は、盛岡方向。
  下の写真は、秋田方向。
  ともに2003年12月28日撮影。

  辺り一面の雪に覆われるこの時期でさえも、旧道路敷とは思えないほどに
 枯木が群れをなして生える。





















 

  14)秋田側ゲート付近





   上は、湖山トンネル秋田側坑口直前にある旧道ゲート。
   ここでまた、現道と旧道が分岐している。

   旧道は、現在は田沢湖町道となっているようであるが、ずっと閉じられたままだ。
   ま、この手のゲートは、決して開けられることはないのだろう。

   下の2枚は、これもトンネル直前のドライブインから、旧道を見上げる。
   ゲートの奥は、いきなりのつづら折りになっているようだ。


   これをもって、ひとまず仙岩峠旧道探索にピリオドを打ちたい。

   −完−

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